基本情報技術者
学習期間:8ヶ月
経済産業省が情報処理技術者としての「知識」や「技能」が一定水準以上であることを認定するIT系の資格の中で唯一の国家資格です。
基本情報技術者とは
情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。
情報システムを構築・運用する「技術者」から情報システムを利用する「エンドユーザ(利用者)」まで、ITに関係するすべての人に活用いただける試験として実施しています。特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に評価しています。
引用:情報処理推進機構
基本情報技術者を取る方法
受験資格は特になく、年齢制限もないため、どなたでも受験できます。
試験は午前80問、午後11問が出題される問題において午前・午後ともに60点以上で合格です。
基本情報技術者の難易度・評価
基本情報技術者の合格率は約20%と低いので、情報系が未経験者の方にとっては難易度が高い資格です。
また、基本情報技術者では単純な数学的な問題だけではなく、「システム開発」「プロジェクトマネジメント」「経営戦略」「法務に関しての知識」「アルゴリズム」「プログラミング」など幅広い知識を求められるのが合格率が低くなる一因です。
IT系の企業では新入社員に基本情報技術者の取得を奨励したり、資格手当等の報奨金制度を設ける企業が増えているのでIT業界では強い影響力を持った資格です。
基本情報技術者の学習方法
基本情報技術者では、午前試験80問、午後試験11問に対して午前・午後ともに60点以上の正解が合格基準となっています。
午前の試験では情報処理の基本となる「基礎論理」や「アルゴリズム」といった問題なので、過去問を繰り返し解いていくと合格率アップに繋がります。
対して午後の試験では長文問題かつ過去の問題と同じ問題が出題されない傾向なので、言葉を暗記するだけではなく、同じ問題を何度も解き、長文問題に慣れる必要があります。
しかし、独学では午前試験・午後試験の試験対策をバランス良く学習するのは非常に難しいのが現実です。
通学講座のなかには、午前試験免除制度が備わっている場合もあるので、通学中に午前試験の知識を身に着けながら、午後試験の対策ができるメリットがあります。費用・時間面で問題のない方は通学講座も検討してください。
基本情報技術者を取得するメリット
ITの基本知識が身に付く
プログラマーやシステムエンジニアにとって、IT関連の基礎知識は必ず必要になります。基本情報技術者はIT関連の知識を広く身につけられるので、どのIT業界で働くうえでも力になります。
また、現役のプログラマーやシステムエンジニアだとしても、実際に自分が担当している仕事以外の分野の知識は乏しい傾向があります。そこで、基本情報技術者を取得することで仕事以外の知識も身につけられ、キャリアアップの可能性が大きく広がってきます。
IT業界への就職が有利になる
IT業界への就職では実務経験や成果物が最も重要視されます。しかし、初めてIT業界へ就職する方からすると「実務経験」はないに等しいのが現実です。
そのため、基本情報技術者を取得しておくと、少なくともIT関連に関心を寄せている証明になるでしょう。
特に、他業界からIT業界への転職を考えている場合は、基本情報技術者を取得すると企業へ好印象を与え就職が有利になります。
資格手当がもらえる
IT企業によっては、新入社員に基本情報技術者の取得を奨励したり、資格手当等の報奨金制度を設ける企業が増えてきています。
平均的に5,000円の資格手当が支給されるので、資格取得=給料アップ と考えるだけでも大きなメリットです。
資格の取得には、参考書・講座などの最低限の受講料金がかかりますが、資格手当が貰えるので「資格を取得したのに意味がない」というのは避けられます。
基本情報技術者の仕事内容
基本情報技術者試験の合格者はIT関連の知識を求められる仕事を行います。
職種は多種多様ですが、基本情報技術者の合格者は下記の職種で活躍しているのが多いです。
1.プログラマー
プログラマーはプログラム言語を使い、ソフトウェアの設計やプログラミングを行う職種です。
パソコンで動くソフトウェアだけではなく、テレビやスマートフォンなどあらゆる電子機器に組み込まれているので担当の幅は非常に広いです。
2.システムエンジニア
システムエンジニアは、クライアント側の要求から仕様を決定し、大まかな設計を作成するシステム開発における上流工程を行う職種です。
企業によっても仕事内容は様々ですが、主に「要求分析・要件定義」「基本設計」「詳細設計」「テスト」などが業務内容です。
3.ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、ネットワークの構築・設計、ネットワークの監視・運用・保守を行う職種です。
サーバーの負荷の分散、障害発生時の対応、セキュリティ対策などを行うため「ネットワーク」や「セキュリティ」に対して深い専門的知識が求められます。
基本情報技術者のやりがい
近年では日々IT関連の新しい技術が生まれています。基本情報技術者を取得し、ITエンジニアとして働ければ最先端のIT技術に触れることもできるでしょう。
IT業界で働く方は新しいもの好きという方が多く、常に新しい技術へ触れる機会があることにやりがいを感じられます。
また、現代の情報化社会においてIT関連のインフラは必要不可欠で、ITなくしては社会を動かすのも難しいのが現実です。
こうした、情報化社会の基盤となるインフラの構築を行うエンジニアは「社会に必要不可欠な存在」と使命感を持ってやりがいを感じる方も少なくありません。
基本情報技術者の適性があるのはこんな人
- IT企業で働きたい人
- IT関連の知識を身に付けたい人
- フリーランスで技術力のアピールをしたい人
基本情報技術者は、これからIT企業で働きたい人に向いています。
IT企業で働くためには、IT関連の広い知識が求められます。そのため、プログラマーやエンジニアとして働きたい人は基本情報技術者を取得し、ITの知識を深めてください。
また、最近ではフリーランスの方でも基本情報技術者を取得し、技術力のアピールに利用する場合もあるので、IT関連の知識を身につけたい人にもおすすめです。
基本情報技術者の給料、年収
【東京都内 IT企業A】
◎正社員
月収:195,000円、年収250万円以上
(残業手当、資格手当1万円 含)
【東京都内 IT企業B】
◎アルバイト
時給:1,000円〜
受験者の口コミ
文系の学部に通っているのですが、授業ではITに関する学習をすることはありませんでした。ITに関しての知識もITパスポートに合格する程度の知識でしたが、独学で合格できました。若干でもITの知識がある方なら情報処理技術者の参考書を購入して独学でも合格可能かもしれませんが、ITの知識が少ない方は通信講座などを利用してプロに教えて貰うほうが良いかもしれませんね。
大原の講座を受講したのですが、午前試験の免除制度が非常に助かりました。本来は午前・午後ともに受けなければいけないところを、通学講座を受講したおかげで午後の試験だけになりました。午後の試験は長文で非常に難しいとの話でしたが、免除制度のおかげで午後試験の対策がバッチリでした。
現役のプログラマーなんですが、社内の技術力向上の為に基本情報技術者の資格取得を促されました。普段からIT関連の仕事をしているので簡単だろうと思い、参考書を見たところ分からない問題ばかりでした・・・。そこで、通信講座で学習したところ見事に一発合格。通信講座代はかかってしまいましたが、会社から資格手当も貰えるようになったので取得できてよかったです。
私はフリーランスのプログラマーとして活躍しているのですが、今まで資格を持っていなく営業に行っても「本当に作れるの?」と信頼度に欠けていました。そこで、技術力の証明としても資格を取ろうと思い基本情報技術者を取得しました。基本情報技術者を取得後には「本当に作れるの?」と言われることもなくなり、多くの仕事を受けられるようになりました!
今まで一般事務の仕事をしていたのですが、昔からIT関連の仕事をしたかったので大原の通学講座を受けることにしました。ITに関する知識が0に近い私ですが、大原では知識がない方にも非常に分かりやすく解説してくれて、合格することできました。これでIT企業への就職へ一歩近づきました。
基本情報技術者受験当日の注意
- 開始時間・実施会場の確認
- 筆記用具の持参
- 受験票の持参
- 昼食の持参
基本情報技術者はマークシート方式の試験のため、シャープペンシルや消しゴムなどの筆記用具が必要となります。
また、基本情報技術者の試験は午前・午後と分かれているので昼食を持参してください。試験会場の近くには何千人という方が受験しに訪れるため、お昼休みの12時から13時の間に買いにいくと、ご飯類が売り切れの場合もあります。
これらを防ぐためにも必ず昼食を前もって用意して試験会場に向かってください。
資格情報まとめ
資格・試験名 | 基本情報技術者試験 |
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主催団体 | 情報処理推進機構 |
試験区分 | 国家資格 |
試験日程 | 春期: 4月の第3日曜日 秋期: 10月の第3日曜日 |
受検料 | 5,700円 |
申込期間 | 春期: 1月中旬~2月中旬 秋期: 7月中旬~8月中旬 |
試験会場 | 札幌、帯広、旭川、函館、北見、青森、盛岡、仙台、秋田、山形、郡山、水戸、つくば、宇都宮、前橋、新潟、長岡、埼玉、千葉、柏、東京、八王子、横浜、藤沢、厚木、長野、甲府、静岡、浜松、豊橋、名古屋、岐阜、四日市、富山、金沢、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、神戸、姫路、和歌山、鳥取、松江、岡山、福山、広島、山口、徳島、高松、松山、高知、北九州、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇 |
試験ランク | なし |
受験資格 | なし |
合格率 | 約20% |
出題形式 | 選択解答式(マークシート) |
出題範囲 |
1 コンピュータシステムに関すること (1)ソフトウェア・ハードウェア OS,ミドルウェア,アプリケーションソフトウェア,言語処理ツール,数値・文字・画像・音声の表現,処理装置,記憶装置と媒体,入出力装置,命令実行方式,アドレス方式,システム構成 など (2)データベース データベースの種類と特徴,データモデル,正規化,DBMS,データベース言語(SQL)など (3)ネットワーク ネットワーク構成,インターネット,イントラネット,プロトコル,データ通信,伝送制御 など 2 情報セキュリティに関すること 情報セキュリティポリシ,情報セキュリティマネジメント,データベースセキュリティ,ネットワークセキュリティ,アプリケーションセキュリティ,物理的セキュリティ,アクセス管理,暗号,認証,不正アクセス対策,マルウェア対策(コンピュータウイルス,ボット,スパイウェアほか),個人情報保護 など 3 データ構造及びアルゴリズムに関すること 配列,リスト構造,木構造,グラフ,整列,探索,数値計算,文字列処理,図形処理,ファイル処理,計算量,誤差 など 4 ソフトウェア設計に関すること ソフトウェア要件定義,ソフトウェア方式設計,ソフトウェア詳細設計,構造化設計,モジュール設計,オブジェクト指向設計,Web アプリケーション設計,テスト計画,ヒューマンインタフェース など 5 ソフトウェア開発に関すること プログラミング(C,Java,Python,アセンブラ言語,表計算ソフト),テスト,デバッグなど 6 マネジメントに関すること (1)プロジェクトマネジメント プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画),プロジェクトチームのマネジメント,スケジュールの管理,コストの管理,リスクへの対応,リスクの管理,品質管理の遂行,見積手法 など (2)サービスマネジメント サービスマネジメントプロセス(サービスレベル管理,サービス継続及び可用性管理,キャパシティ管理,インシデント及びサービス要求管理,問題管理,変更管理ほか),サービスの運用(システム運用管理,運用オペレーション,サービスデスク) など 7 ストラテジに関すること (1)システム戦略 情報システム戦略(全体システム化計画,業務モデルほか),業務プロセスの改善(BPRほか),ソリューションビジネス など (2)経営戦略・企業と法務 経営戦略手法(アウトソーシング,競争優位,SWOT 分析ほか),マーケティング(マーケティング理論,マーケティング手法ほか),企業活動,会計・財務,法務,標準化関連など |
合否基準 | 午前試験80問、午後試験11問に対して午前・午後ともに60点以上の正解 |
結果発表 | 約1ヶ月 |