単語帳とは暗記に最適な学習ツール|単語カードの使用例や効果的な活用法、特徴について
2021/03/22
単語帳とは、単語を暗記するために作られたノート、本、単語カードの集まりのことです。
市販のものでは「単語集」といった名前で販売されているものもあります。
もともとは受験戦争が始まった1970年代頃から、学生たちの間で普及したとされています。
目次
単語帳の特徴
単語帳は、暗記に特化して学習できるツールです。
自分の苦手がわかり、繰り返すことで克服できることから、弱点を補って全体的な知識の底上げができます。
シンプルな作りのため、赤ちゃんから大人まで様々な学習に利用できることも人気の理由です。
また、勉強は細かな時間の積み重ねが大事ですから、どこへでも持ち運びやすいというのが重要です。
その点単語帳は手のひらサイズなので、普段の生活はもちろん、旅行先など遠出にも参考書などに比べて荷物になりません。
一般的な単語帳のサイズ | 縦:30mm 横:68mm |
---|
単語帳が利用されている主な勉強
単語帳は下記のように様々な学習者にとって便利なツールとして浸透しています。
英単語(外国語)
どの言語でも、外国語を学ぶ時には単語を覚えますよね。
圧倒的に多いのが、英語を勉強するために英単語を覚える必要があるといったケースです。
国際化社会で取り残されないために、英語をマスターしたいと考える人が多いことには確かに頷けます。
知りたい情報を検索する時も、日本語だけで得られる情報は全体のほんの一部に過ぎません。
「英語がわかる」というだけで、得られる情報量は圧倒的に増えます。
資格
専門的なものであるほど、専門用語などたくさんの知識を覚えなければいけません。
法律の知識が必要な資格であればなおさらです。
特定の資格を持っていることが給与査定で有利に働くこともあるため、社会人でも通勤などの移動時間や休日の空いた時間に単語帳を使って勉強している人が多いです。
単語帳は手のひらサイズでどこへでも持ち運べる!
歴史
受験生なら、歴史上の出来事を年号と合わせて覚えなければなりません。
年表をただ眺めていてもいざ試験の時に思い出せませんが、単語帳を使えば年号だけ集中的に学習できます。
慣用句、ことわざ
学生だけでなく、単語帳を自作して勉強されている方も多いです。
クイズ番組などの影響もあり、知った気になっていた知識について学びなおすという意識も働き、手軽に勉強できる単語帳というツールが選ばれています。
単語帳の海外での使用例
単語帳は英語にするとFlashcards(フラッシュカード)です。
日本と同じように、言葉を覚え始める赤ちゃんのためにイラストを使ってアルファベットを覚えるフラッシュカードや、学生の受験対策、社会人の資格取得のためのツールとして、幅広く使われています。
単語帳・単語集の種類
先ほど紹介した通り、単語帳にはたくさんの用途があります。
実際市販されている単語帳(単語集)にはどんなものがあるのでしょうか。
調べてみたので少し紹介します。
英単語の語源を集めた単語集
TOEICの目標スコア別単語集
ビジネス英会話に必要な単語集
学年別数学公式・用語集
百人一首辞典
九九を覚える単語帳
アルファベットを覚える単語帳
中学の化学式・理科用語の単語帳
漢字の読み方を覚える単語帳
単語集は「本」なので、単語帳学習をするためには単語帳を自分で作ることになります。
単語帳を自作する
単語集を買ってオリジナルの単語帳を作りたい場合は、白紙の単語帳とペンがあればすぐに作成できます。
単語帳はいくつもの白紙のカードがリングでまとめられているものを購入してください。
やはり王道は今も昔もコクヨさんのブランドCampusの単語帳です。
単語帳で試す上手な脳の使い方
ここからは私たちが意外と知らない脳の力と記憶についてのお話です。
脳の記憶容量は想像以上に大きい
「もう脳の容量がいっぱいだから新しいことが覚えられない」なんて冗談を聞いたり言ったりしたことはありませんか?
2016年に発表された研究により、この言い訳はもう通用しなくなってしまいました。
アメリカのSALK(ソーク)研究所のグループが行った研究によると、人間の脳はこれまで考えられていたよりも10倍(1ペタバイト)もの情報を記憶できることがわかったそうです。
1ペタバイトと言われてもいまいちどれくらいすごいのかイメージできないですよね。
1PB(ペタバイト)は100万ギガバイトです。
1PB=100万GB
具体的なデータに例えると、
● 文字がびっしり書かれた書類が入った引出しが4つのキャビネット2000万個
● 13.3年分のHD動画
● Googleが1日に処理するデータ
● 世界中の全ての言語で今まで書かれた文章
だそうです。
英語圏の30代のネイティブスピーカーが持っている語彙数は多くても3万くらいと言われていますので、1PBの記憶容量をもつ私たちの脳が記憶できないわけはありません。
「暗記は苦手」という方も、実は素晴らしい機能を持った脳の力を知らないだけで苦手だと思い込んでしまっているのです。
しかし、ではなぜ私たちは「覚えられない」のでしょうか?
「覚えられない」わけではなく「思い出せない」だけ
実は「覚えられない」というのは間違いで、「覚えているけど思い出せない」というのが正解です。
単語カードを睨んで覚えるぞと思っていた英単語も、1、2回見た時点で実はもう脳は覚えているので、あとは私たちが「思い出す」だけでいいんです。
ずっと忘れていたことを何かの拍子にふっと思い出した経験はありませんか?
自分では忘れたと思っていても、脳は覚えていて、きっかけさえあれば思い出せるのです。
ただ、長い文章になるほど記憶されづらくなりますので、「単語」で学習する「単語帳」は覚えるのにぴったりなんです。
ポイントは、覚えようとするのではなく「思い出す練習」をすべきだという点です。
「覚えよう」ではなく「思い出そう」と意識しましょう。
思い出せるようになる練習が必要
脳が覚えたことを「思い出す練習」とは、どういうことでしょうか。
すばり、「単語帳学習」です。
覚えたい単語の単語カードを作成し、その単語がすっと思い出せるようになるために繰り返し練習することが、思い出す練習になります。
思い出す練習は繰り返すほど「慣れる」
何度も思い出す練習を繰り返すと、どんどん記憶の定着率が上がります。
時間の経過と記憶の定着率(思い出せたこと)についての研究によると、繰り返すことでより記憶が定着しやすくなることがわかっています。
この記事の文脈でいうと、単語帳学習は繰り返すことで「脳が覚えた」ことを「思い出しやすくなる」と言い換えることができます。
別記事でも紹介していますが、理想的な復習のタイミングは1回目の学習から起算して以下の通りです。
● 1時間後
● 1日後
● 1週間後
● 半月後
● 1ヶ月後
完璧にスケジュール通りにするのは難しいかもしれませんが、やることが大切です。
これから単語帳学習を始める方は、ぜひこの周期を参考に思い出す練習をしてみてください。
単語帳の作り方ポイント3つ
自分で単語帳を作る際は、以下の3つのポイントを意識してください。
- 表→裏、裏→表が両方成立する
- 覚えたい情報以外は書かない
- イラストや画像で視覚を使う
詳しく説明していきます。
1.表→裏、裏→表が成立するようにする
英単語を覚えるための単語帳を作ろうと思ったら、単語カードの表に英語、裏に日本語の意味を書くことが多いと思います。
慣れてきたら、裏→表と逆からめくってみてください。
英語を見て日本語を思い出すことで「英語の読み」が正確にできるようになりますので、その次のステップとして日本語を英語に変換できるようになる練習です。
これで自分の言いたいことが瞬時に英語へ変換できるようになり、英会話に役立ちます。
ようはインプットからアウトプットの練習に変化するイメージです。
そのためには逆からめくっても学習できる内容にすることが大切です。
どちらも1つの言語情報のみなので、裏からめくっても成立します。
裏面に英単語を使った例文を記載しています。
一見便利そうですが、裏からめくった時にはりんごの英単語である"apple"が見えてしまっている状態ですので、問題として成立しません。
2.覚えたい情報以外を省く
単語帳学習は覚える(思い出す)ことに集中しましょう。
単語カードに書く情報は最低限でOKです。
ついたくさんの情報を入れたくなりますが、脳が混乱してしまう可能性があるので、無駄な情報はできるだけ省いてください。
3.イラストや画像で視覚を使って覚える
単純に言葉だけではピンとこない単語もあると思います。
私は昔なんとなく"above"に引っかかってしまい、「あれ?〜の上にだっけ?下だっけ?」と混乱したことがあります。
しかし"above"で画像検索してみると、イメージとして"above"を見て「何かの上にある感じ」と理解できます。
手作りの単語帳なら、あとで簡単なイラストを足すこともできますね。
単語帳の使い方ポイント3つ
作り方の次は、使い方についての3ポイントをご紹介します。
- 声に出して効率アップ
- 時間制限で試験対策
- 反復学習で記憶を定着させる
それぞれ詳しく解説します。
1.声に出して効率アップ
単語帳学習をする時には、可能であれば必ず声に出しながら勉強してください。
赤ちゃんは大人が話している声を聞き、それを真似ることでだんだんと言葉を話せるようになっていきます。
近頃は日本の教育現場でも、「声を出さない」ことから実際の発音がわからず、使える英語を学べていないと問題視されています。
chocolateはあくまでも"chocolate"であり、「チョコレート」と言ってもネイティブには通じません。
英語を文字列ではなく「音」として学習することで、英語を話すときの口の動かし方を学べるだけでなく、そこにある法則性やスペルとの関係に気づけます。
慣れないうちは恥ずかしいかもしれませんが、まずは1週間続けてみてください。
ただ単語帳を見ていたときよりも学習効率が上がっていることがわかるはずです。
2.時間制限で試験対策
数値的な目標を持って英語学習をしている方は、必ず受けたい試験があると思います。
試験には制限時間がありますから、覚えた単語を素早く理解できるスピード感が大切です。
覚えられない単語カードにズルズルと時間を取られてしまうのは要注意。
まずは1周終えてからおさらいしましょう。
「考えるのは10秒まで」と、1枚の単語カードあたりにかける時間を決めておくといいですよ。
3.反復学習で記憶を定着させる
先ほど「思い出す練習は繰り返すほど慣れる」でも触れた通り、脳が覚えた記憶は繰り返し思い出す練習をすることで、その行為に慣れていきます。
記憶が定着してしまえば簡単には忘れませんので、単語に対してすぐに答えが浮かぶようになるまで、焦らずに繰り返し練習しましょう。
面白いことに、人間は放っておくと怠けようとします。
勉強する時間を決めてアラームを設定するなど、未来の自分をコントロールしましょう。
単語帳で脳の仕組みを賢く使おう
暗記が苦手と思っていたあなたも、実はとんでもない量の記録ができるマシーンを持っていることがわかりました。
私たちのもつ素晴らしい能力を上手に使っていきたいですね。
裏からも使えるシンプルな単語帳を使って、声に出しながら時間制限を設けつつ繰り返し学習しましょう。